遺産相続は基本的には相続人が話し合いをで合意が得られれば、その分け方で構わないのですが、意外と話し合いで決まらないのが通例です。
そこで、代表的な分け方を5つご紹介しましょう。
<遺産の分け方は5つ>
〇現物分割
現物分割というのは、その名の通り遺産となっている土地、建物、預金、車、家財道具などを分割する方法で、それぞれ1つずつを誰に分けるかを決めます。
1つずつということですので、土地は誰、建物は誰、預金は口座ごと誰に分けるかというように、1つずつを誰が譲り受けるかを決めていきます。
〇換価分割
換価分割というのは、遺産となっている財産を全て売却して現金に換えます。
そのお金を相続人で分ける方法です。
これなら均等に分けようと思えば分けることができますし、割合で決めることもできますので、トラブルが少ないかもしれません。
〇代償分割
代償分割というのは、遺産相続をする際に、土地や建物など財産のうちで価値の高いものを相続した人が、他の相続人に金銭をいくらか支払つおいう方法で、基本的に支払われる金額は法定相続分を超えた金額と相続する土地や建物との差額を支払うことが多いようです。
ですが、相続人の間でそんなに払う必要はないと話し合いで合意があれば、少ない金額でもかまいません。
〇共有
共有というのは、誰がどの遺産を相続するかなどを決めず、相続人全員で遺産を共有するために、そのままにしておく方法です。
ですが、この方法は後々「やっぱり相続しておけばよかった」などトラブルが起こりやすくなりますので遺産となる財産はきちんと分け合った方が良いでしょう。
〇用益権設定
用益権設定は、聞いたことがない人が多いと面ますが、これも一つの遺産の分け方の一つです。
例えば、ある相続人が土地と建物を相続したとします。この相続というのは所有権を持つということですので名義変更などの手続きが必要です。
ここまでなら土地と建物を相続人が相続したということなのですが、相続した土地や建物を他の相続人が亡くなるまで無料で住んだり、他の所に転居が決まるまで無償で住んだりと、財産を所有する者と使用する者をわける方法です。
使用する人が「無償」で使えるというのがポイントですね。
これを使用貸借権と言います。
貸借権の他に地上権や地役権を設定することもあります。
これら5つが代表的な分け方ですが、この分け方のどれかしか使えないというわけではなく、組み合わせて使うこともできるのです。
例えば、土地や建物は現物分割、その建物に用益権を設定し所有者ではない相続人を住ませる、土地を相続した人には他の相続人へお金を払い、残った遺産は全て現金に換え全ての相続人で分けるということもできるのです。
つまり、遺産相続は基本的には相続人が合意すればどのような割合でも方法でもわけることができるのです。
ですが、話し合いでなかなか決まらないことが多いのでこのような代表的な決め方がいくつかあります。
<遺産相続したものは譲渡も可能>
先程は遺産の分け方についてご説明しましたが、遺産の譲渡という方法もあります。
遺産の譲渡というのは、遺産を分ける協議などに関わりたくない人、または協議を待たずに相続分をすぐに現金化したいという人はほとんど使われることはありません。
ですが、相続人という地位を他の相続人や、相続人ではない他人に譲り渡すこともできます。
これを「相続分の譲渡」と言います。
相続分の譲渡を行うと、もちろん相続人ではなくなりますし、譲渡された人は遺産の相続人となるわけですから、財産分割の協議に参加することもできます。
ただ、相続分の譲渡を受けた人が親族ではない全くの他人の場合は、トラブルになる可能性が高いため、他の相続人が法定相続分のお金を支払って、その相続人の相続分を買い取ることも可能です。
では、譲渡を受けた人が、この申し出を断ったらと思われるかもしれませんが、譲渡を受けた人は買い取り請求を拒否することができなくなっています。
<遺産には借金も含まれる>
遺産と聞くと、全てプラスのことばかりを想像するかもしれませんが、借金も遺産に含まれるのです。
借金の分け方は、法定相続分ということで、それぞれの相続人が遺産を相続したことで、自動的に借金も相続することになります。
この借金を相続人の誰かに任せることはできるのですが、あくまでも相続人同士で決まられたことで、法的な効果はありません。
これを法的に効果があるようにするにはお金の貸主がその協議に合意して了承しなければならないので、もし貸主が了承しなければ法定相続分通りに、それぞれの相続人が借金を支払っていくことになります。
ですが、貸主が了承すれば法的に認められますし。
また、借金をした理由が連帯保証人だった場合も基本的には法定相続分でそれぞれの相続人に分割されます。