節税の方法はたくさんありますが、日本では実際にその効果を受けるためには確定申告の手続きを行わなくてはならないケースがほとんどです。
ご自分で事業をされている方の場合は「毎年やっていることなので慣れている」という方も多いかもしれませんが、「今年初めて確定申告をする…」という方は確定申告の書類の書き方はかなり高いハードルと感じているかもしれません。
今回は確定申告の書類の書き方について初心者の方でも理解しやすいように解説させていただきます。
◎確定申告書B(第二表)の書き方
確定申告書は、所得や控除の金額を記入していくことで自動的に税額が計算できるようになっています。
そのため、まずは所得を証明する書類(源泉徴収票や事業の決算書など)や控除を証明する書類(控除証明や住宅ローン年末残高の証明書など)を準備するようにしましょう。
確定申告を最後までスムーズに完了するコツは、具体的な記入作業に入る前に必要書類をすべてもれなく集めておくことです。
◎必要書類の準備
以下、メインとなる確定申告書Bの書き方について初心者の方でもわかりやすいように解説させていただきます。確定申告書Bは第一表と第二表の二枚組になっていますが、第二表で書いてから第一表に転記するという書き方が基本になります。
・住所や氏名の記入
まず、左上の箇所で以下の3つを記入しましょう。
(1)何年分の確定申告なのか
(2)住所
(3)屋号や氏名
・収入金額や所得金額の計算欄に記入
次に左上から2番目のブロック「所得の内訳」を記入します。
所得の種類はお給料であれば「給与」、個人事業主の人の場合は「事業」、株式の配当であれば「配当」と記入します。年金を受け取っている人であれば雑所得となりますので「雑」と記入します。
・種目と所得の生ずる場所
次に「種目と所得の生ずる場所」を記入します。
種目というのは給与所得であれば「給与」、配当なら「株式の配当」、年金なら「国民年金」と言ったように記入します。事業以外の雑所得として収入を得た場合には「講演料」や「原稿料」といったように記入します。
・収入金額と源泉徴収税額
収入金額には税金を含む総額を記入し、源泉徴収税額には受け取りに天引きされている税額を記入します。
源泉徴収税額は外部から受けとった源泉徴収票や支払調書に記載されていますので、その金額を記入しましょう。
・所得控除の明細を記入
次に右上の所得控除の明細を記入します。
社会保険料控除、医療費控除、小規模共済等掛金控除など、ご自分が支払った先から受け取っている「控除証明」の金額をそのまま記入していけばOKです。なお、生命保険料控除と自信保険料控除については支払った保険料をそのまま書くのではなく、控除額を記入するように注意してください。
◎確定申告書B(第一表)の書き方
第一表には第二表で記入した金額を順番に記載していくだけですのでそれほど難しくはありません。
・住所や氏名の記入
まず一番上の部分の住所や氏名を記入します。
・収入金額と所得金額の記入
左上の「収入金額等」と「所得金額」を記入します。
この部分は第二表の「収入金額や所得金額の計算欄」と金額があっていなくてはなりませんので注意してください(第二表に書いた内容をそのまま転記すればOKです)
・所得控除額の記入
左下の「所得から差し引かれる金額」というのは第二表で記入した所得控除のことです。
こちらも第二表の金額をそのまま上から所得控除の種類に分けて記入していくだけでOKです。ただし、ここでも生命保険料控除や自信保険料控除について「支払った金額」ではなく「控除の金額」を書かなければならないことに注意が必要です。
なお、一番下の基礎控除の金額は全ての人が38万円で共通となります。
・「税金の計算」を記入
次に右上の「税金の計算」欄を記入しましょう。
「課税される所得金額」には「所得金額の合計額ー所得控除の合計額」を計算して記入します。
その下の「上の26に対する税額」には税務署のホームページにある「所得税の速算表」から計算した金額を入力します(ヤフーで「所得税の速算表」で検索すれば一番上に出るはずです)
例えば、「課税される所得金額」が1000万円である人であれば、1000万円×33% – 1536000円=1764000円を記入することになります。さらに、源泉徴収税額や予定納税額(事前に支払った税金)があれば記入し、最終的に「納める税金」を計算して記入しましょう。
・その他
右下の「その他」では個人事業主の方で家族に給料を支払っている場合の「専従者給与」の金額と、青色申告で確定申告を行う場合の「青色申告特別控除(65万円)」の記入が大切です。
専従者給与の金額は事前に税務署に提出している「青色事業専従者給与に関する届出」の金額を記入します。
青色申告特別控除については申告する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります(提出している場合の青色申告特別控除の金額は一律で65万円です)
◎自分がどの所得の申告を行うのかを理解しよう
確定申告書の書き方は基本的に上記の通りですが、ひとことに確定申告と言っても、「どの所得の申告を行うのか」によって書き方が異なります。
まずは自分がどの所得の申告を行おうとしているのかを把握しましょう。
確定申告が必要に成る代表的なケースとしては以下のようなものがあります。
・個人事業主の事業所得
自分で事業を営んでいる人は、自分で毎年確定申告を行わなくてはなりません。
事業についての決算書から確定申告書を作成し、申告しましょう。
・サラリーマンの人が住宅ローン控除を受けるケース
サラリーマンの方は、通常は勤務先の会社が「年末調整」という手続きであなたの所得税の申告を代行してくれています。
ですが、マイホーム購入のために住宅ローンを組んだとしなどには住宅ローン控除を受けることができるため、自分で確定申告を行わなくてはなりません(住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要です)
金融機関が発行する年末残高証明書等を使って確定申告を行いましょう。
・医療費控除を受ける場合
医療費を年間10万円以上支払っている人は医療費控除を受けることができます(その分税金が安くなります)
医療費控除を受けるためには医療機関に対して支払った料金の領収書(レシート)が必要になります。
・株式投資の申告
通常、株式投資では利益が出るたびに証券会社等が源泉徴収の形で税金の申告と納付をしてくれています。
そのため、年間を通して利益が出た時には株式投資の確定申告は必要ありません。
ですが、年間を通して損失が出た時には確定申告を行うことで節税を行うことができるようになっています。
株式投資を行ったけれど今年は結局マイナスになってしまった…という方は必ず確定申告を行うようにしましょう。
<まとめ>
以上、確定申告書類の書き方について初心者の方向けに解説させていただきました。
確定申告書類は仕組みを理解していないとなかなか書き始めにくいものですが、押さえるべきポイントを理解しておけばそれほど難しいものではありません。
「今年初めて確定申告にチャレンジする」という方も、基本的な税金の計算方法を理解した上でぜひチャレンジしてみてくださいね。