雇用保険は、お給料のうちから保険料を支払っておくことで、万が一失業してしまった時に失業給付という形で国からお金を受け取ることができる仕組みのことです。
現在アルバイトとして仕事をしている方の中には、「自分は正社員じゃないから雇用保険には加入できない…」と思っている方ももしかしたらおられるかもしれません。
ですが、法律上は雇用保険に加入できるかどうかはアルバイトの人と正社員との人とで区別があるわけではありません。
アルバイトの方であっても、必要な要件を満たしてさえいれば雇用保険に加入することができます。
また、もしあなたが雇用保険に加入する権利がある勤務時間数働いていたとしても、実際に雇用保険に加入するためには勤務先の企業に加入のための手続きを行ってもらわなくてはなりません。
雇用保険の保険料の一部は勤務先の企業が負担するものなので、もし勤務先が必要な手続きを完了していないと、いざ失業となったときに失業給付が受け取れない…という可能性もあるので注意が必要です。
ここではアルバイトの人が失業保険を受け取るために必要な条件や手続きについて解説させていただきます。
◎失業保険がもらえるのは「雇用保険に加入していた人」だけ
アルバイトの人でも職を失ったときには雇用保険の失業給付をもらえる可能性がありますが、失業保険を受け取るためには働いているときに雇用保険に加入していなくてはなりません。
会社は従業員が一定の条件を満たしたときには雇用保険に加入させる義務がありますが、実際に加入の手続きを取ってくれるかどうかは別の問題です。
法律上は雇用保険に加入する権利があるとしても、その事実に基づいて会社側がなんら手続きを行っていない場合には、その人は雇用保険に加入していなかったものとして扱われてしまう可能性があります(タイムカードなどの証拠を集めて加入する権利があることを労働基準監督署などを通して立証できた場合には遡って雇用保険に加入していたものとして処理してもらえることはありますが、例外的な処理といえます)
会社が従業員を雇用保険に加入させなければならない義務が発生するのは、以下のような場合です。
・1週間の所定労働時間が20時間以上あること
ここでいう所定労働時間というのは、企業に入社するときに企業側と交わす雇用契約書に書かれている労働時間のことです。
例えば1日4時間の勤務で週5回の勤務であれば1週間に20時間以上働いていることになりますので、この所定労働時間の条件を満たすことができます。
・31日以上働き続ける見込みがあること
この条件は必ずしも雇用契約書に契約期間が書かれていなくても問題ありません。
雇用契約書に契約期間が書かれていない契約のことを「期間の定めのない契約」といい、原則として31日以上は勤務するものとして契約を交わしたものと考えられるためです。
この要件が問題となるのは、雇用契約書に積極的に「31日以上は雇用しない」という内容が書かれているような場合に限定されます。
ただし、雇用契約書に31日以上は雇用しない旨が書かれていたとしても、実際には31日以上継続して雇用されている場合にはこの条件もクリアできます。
・会社側が雇用保険の適用事業所であること
この条件はクリアできないということは非常に稀です。
具体的には、常時働いている労働者の人数が5人に満たない農林水産事業等でない限りは、その会社は雇用保険の適用事業所となるためです。
一般的な事業をいとなんでいる会社でのアルバイトであれば、この条件は問題なくクリアできると思われます。
◎雇用保険の失業保険を受け取るための条件
次に問題となるのは「受給要件を満たしているか」です。
アルバイトではあるけれど、雇用保険には加入しているというケースでも、失業給付を受け取るためにはこの受給要件を満たしていなくてはならないのです。
雇用保険の失業給付を受け取るための受給要件は、アルバイトを辞めた日以前2年間の間に、雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上あることです(自己都合退職の場合)
さらに退職の理由が会社都合(会社の倒産など)の場合には、アルバイトを辞めた日以前1年間の間に6ヶ月間だけ雇用保険に加入していればOKとなります。
ただし、これらの要件を満たしていたとしても、雇用保険の失業給付を受け取るためにはハローワークに出向いて手続きを行わなくてはなりませんし、その際に「この人は現在失業しているけれど、新たに職を見つける意思がある」とハローワーク側に認めてもらわなくてはなりません。
具体的にはハローワークを通して求人案件に何回応募したかといったことが条件となります。
<まとめ>
今回は、アルバイトの人が失業してしまったときに雇用保険の失業給付を受け取るためにはどうしたら良いのか?について解説させていただきました。
一般的には「正社員でないと雇用保険の失業保険は受け取れない」というイメージを持っている人が多いのですが、本文でも解説させていただいたように、法律上は正社員の人とアルバイトの人とで区別はありません。
必要な勤務時間や日数についての要件を満たしてさえいればアルバイトの人でも雇用保険に加入することはできますので、諦めることなく受給のために必要な手続きを行うようにしてみてください。
もちろん、雇用保険に加入するためには勤務先の会社に手続きをしてもらわなくてはなりませんし、実際に失業給付を受けるためには勤務期間の要件を満たさなくてはならないので注意してくださいね。